グッドタロットオラクルカードはなぜこんなに読みにくいのかとひとしきり
リーディングがしにくいと評判の「グッドタロットオラクルカード」。
タロットという名称がついていますが、伝統的なタロットをベースにして作成されたオラクルカードです。
どれほどのものなのかと実際使ってみたら、噂に違わず読みにくい。
私が素人であることを差し引いても、おそらく読みにくい。
解説を無視して絵柄のみで読む人にはいいのかもしれませんが、象徴的なモチーフが少ないため、インスピレーションを惹起する力はさほど強くないと感じます。
ライトワークスのHPで、ウィズダムオラクルカードによる補完を勧めているところからも察知できるとおり、使い勝手の悪さは、ある意味お墨付きともいえるデッキです。
が、そうと知りつつ、絵柄の美しさに惹かれて購入された方も多いでしょう。
私は、どうしても読めないときは、いっそ画集にしてしまおうと思って買った口です。
以下、グッドタロットのリーディングが難しい原因を分析しつつ、列記してみました。
[原因①]タロットともオラクルともつかない曖昧な性質
オラクルカードと銘打って提供されているので、作者の意図としてはオラクルに違いないのでしょうが、限りなく占いに近い意味のもの、1枚引きでは問いの答えとして全く用をなさない場面が多発するものがちらほら交じっています。
これらを有用なものとするには、絵柄等からインスピレーションを受けるなり、追加でカードを引くなり、別のデッキと組み合わせるなりする必要があります。
[原因②]適切でない日本語訳がある
オラクルカードの解説本は誤訳が多いらしいですが、これもまたご多分に漏れず不適当だと感じる訳がちらほら交じっています。肝心要のキーワードが誤訳されているせいで尚更使いにくいものになっていることは否めません。
たとえば風の5のキーワードは、「敵対意識、対立」と訳されていると思います。
(※私が所有しているのは英語版です)
その日本語訳を踏まえて、絵柄を見てください。
違和感を覚えませんか?
原語のキーワードは「Tension,conflict」です。
Tensionには「張力」「緊張」の意があり、ピンと張られた細い糸の上に片足で立っている姿と齟齬がないため、すんなり感覚に馴染みます。
また、「conflict」には、「対立」以外に「葛藤」の意味もあります。
「敵対意識」も「対立」も、イメージされるのはいずれも自分VS相手の構図ですし、ほとんど意味合いが重複してしまっているため、併記する必要があるように思えません。
本来このカードのキーワードは、緊張・対立・葛藤から成り、他者との争いばかりではなく、自身の内なる闘争をも包含しているように感じます。
しかし、この日本語解説からそこまで読み解くのは、不慣れな素人には容易ではありません。
[原因③]アファメーション仕立ての解説がわかりにくい
グッドタロットの、特に大アルカナのキーワードには、引いた瞬間「は?」と思わず疑問を声に出してしまうようなものが散見されます。
そのたび解説を確認することになりますが、これが全部アファメーションになっているせいで、わかりにくくて仕方ありません。
ポジティブ心理学に基づいた解説だそうで、その趣旨は理解できるのですが、意味を理解するために、本来の意味に頭の中で変換するという、本来なら必要のない作業を強いるのは、作者が意図するところではなかったはずです。
比して「バッチフラワー・オラクルカード」は、通常の解説にポジティブなアファメーションを付け加えるという構成によって、「グッドタロット」が達成したかったのであろう試みを成功させています。
グッドタロットもこれにならってくれれば、随分と使いやすいものになったと思うのですが。
[原因④]意味と極端にずれている絵柄がある
たとえば「太陽」のカード。
女性はうつむき、その視線の先には薄闇に咲くひまわりが描かれています。
本当なら引いた瞬間に高揚するはずの、みんな大好きアバンダンスカードですが、「今、豊かさで溢れています」というカードの解説とは裏腹に、その姿は「お金だけあっても仕方がないのよ」と、愛の飢えを訴える富豪の奥様に見えてくるから困ったものです。
一方で「火の9」は、星に願いを…とでもいいたげなファンタジックな希望を感じさせる絵柄ですが、実際は「caution(警告)」という意味をもち、オラクルカードにしては珍しく不穏な示唆を含んでいます。
狭義に限定せず、読み手のイマジネーションを掻き立てる絵柄であることは、オラクルカードにとってほとんど使命といってもいいでしょう。
しかし、それが意味と逆のイメージにしか見えなかったり、齟齬を感じさせたりする場合、読み手はベクトルを見失います。
何とか読めても、違和感や切り捨てた意味に対する不安は残りやすくなるもの。
コレットさんとジーナさんには、もう少し摺り合わせをしていただきたかったと思うばかりです。
(いや、それを通した編集者に責任があるかな。アメリカの出版事情はわかりませんが。)
さて、さんざん悪く書いてしまいましたが、それでもなぜかこのグッドタロットは嫌いになれません。
それどころか頻繁に使ってさえいます。
わかりにくい意味を読み解いてみたいという謎解き心をくすぐるからかもしれないし、併用しているデッキが、グッドタロットの言わんとしていることを照らし出してくれるからかもしれないし、単に波長が好きなだけかもしれません。
このブログの選択式リーディングでは、立役者といっていいほどの活躍ぶりです。
どうしてもリーディングができないときは、伝統的なタロットの意味を踏まえたうえで、グッドタロットの意味を読み返すと、その中心をスパッとつかめることがあります。
ということは、伝統的なタロットの知識がある人向けなのかとも思いますが、知識があったらあったで混乱する要素は多分にあるため、やっぱりどっちつかずです。
ちなみに、グッドタロットには正位置の意味しかありません。
逆位置を採用しないことに関しては、カードを作成中の作者自身にも不安はあったようですが、事前にきちんとモニタリングして、実用に耐えうることを確認しているそうです。
私は、このデッキに限らず、高次元からのインスピレーションや神託を受けて創られたものであるならば、作者の意図に順ずるのが、最もカードの力を発揮できる使い方ではなかろうかと思っているので、正位置でのみ読んでいます。
また、絵柄よりも意味のほうが先に生まれているのだろうという考えから、優先するのは後者です。
ですから、これの出来や相性が悪かったりすると、私にとっては読みにくいデッキということになります。
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